こんにちは、むさしです。
今回の記事では、「英語喉 50の法則」という英語発音の本について取り上げます。
この本は、川上一秋さんという方が「本当のネイティブの発音方法」について詳しく説明した本で、色々と議論を呼んだ本でもありました。
私自身もこの本を読みましたが、結論から言うと「内容に色々と疑問が残る」という感想を持っています。
「英語喉 50の法則」の説明と効果について
最初にも書きましたが、この本は川上一秋さんという方(アメリカ在住とのことです)が「ネイティブスピーカーの本当の発音方法」を研究し、書籍にまとめたものです。
本書の概要について、Amazonから説明を引用します(強調、改行を適宜加えています)。
日本人は、英語発音と聞き取り能力において苦労してきました。これは日本人の能力のせいではなく、長い間ある勘違いをしていたことが原因です。
ずばり、英語は喉で発音するものなのです。
(中略)
実は3ビートさえこころがけておけば、これまで強調されてきたイントネーションとかアクセントの位置などは全て忘れてもよいのです。
本書では、英語ネイティブがしている喉発音、そして3 ビートを理解し、練習してもらいます。
短期間で、英語ネイティブと同じ発音が身につき、音の聞き取りが100%できるようになります。
https://www.amazon.co.jp/%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E5%96%89-50%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%82%BD%E3%83%83%E3%83%89-CD%E4%BB%98-%E4%B8%8A%E5%B7%9D-%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B8/dp/4384054629
ここでの主張は以下の通り。
- ネイティブスピーカーの発音は喉発音
- これまで強調されてきたイントネーションとかアクセントの位置などは全て忘れてもよい
- 聞き取りが100%できるようになる
この本のテーマは、題名にもなっているように「英語の喉発音」、より正確に言えば「英語を喉の奥で発音する」ということです。
そして、それさえできれば、英語発音については全て解決、他は全て忘れてもよい、ぐらいまで書いています。
今までの内容をくつがえす、全く新しい内容ですね。
そのため、この本は発売当初から様々な議論を呼びました。
「英語喉はトンデモ本」という意見もあるが
私の「英語喉」との出会いと第一印象
「英語喉 50の法則」には、出版直後ではありませんでしたが、今から5年以上前に自分の英語発音に苦しんでいた頃、アメリカの某日系書店で出会いました。
その本を見たとき、「これは今までになかった本だ!」と感じ、ちょっと割高でしたがすぐに購入したことを覚えています。
この「今までになかった」という部分を巡って議論が起こりましたが、最初にも書いたように、私は全面的に「ダメ」とは考えていません。
そこで、私が同意する点、疑問に思う点について、次に説明していきたいと思います。
なお、私は現在この本を手元に持っておらず、この記事は5年以上前の記憶を頼りに書いていますので、表記が正確でない部分もあることをお断りしておきます。
「英語喉」について同意できる部分
私が「英語喉」について同意できるのは、次の2点です。
同意1:英語は口をリラックスさせて喉の奥で発音する
まず、私がこの本に巡り合ったときに感じたのは「そう、英語は喉の奥で発音するんだよ!」ということでした。
これは私がこの本に出合う前から(無意識的に)薄々感じていたことで、それがようやく言葉になった、という感じでした。
ですので私は、口をリラックスさせて喉の奥で発音する、という部分には大いに同意です(私の考えている喉の奥と、著者の言う部分は正確には違うかもしれませんが)。
同意2:英語の発音練習はリスニングの向上に直結する
次に同意する点は、英語の発音練習はリスニング力の向上に直結する、という点です。
正直に言うと、私は「聞いて慣れる」的なリスニング練習は時間のムダと考えています。
それは、音についての知識なしに受け身で聞いているだけ、という練習(とも呼べない)方法だからです。
でもそんな方法では、英語の音を処理する脳回路は作り上げられないんですね。
それよりも、発音の基本を学んで自分でも発音できるように練習することが、英語の音を処理する脳回路を作り上げ、英語の聞き取りを可能にしていくわけです。
「英語喉」について疑問に思う部分
以上のように同意点を述べてきましたが、その他の部分については疑問に思う部分も色々とあります。
主に次の3点ですね。
疑問点1:喉発音で全て解決?
まず最初の点は、喉発音ができれば後は気にしなくてもよい、という点。
つまり、音を発音する際の口の形、舌の位置などは発音に関係ない、という点です。
ですが、そんなことはありません。
喉で発声する、ということは発音の基本事項としてはいいとしても、実際の発音、特に子音では口の形や舌の位置と動きが重要です。
この点が、私が英語喉を読み、その後本格的に発音矯正を行ったときに最初に疑問に感じた点ですね。
疑問点2:実際には「3ビート」で発音している暇は無いのでは?
次の点は、本書で掲げられている「3ビート発音」ですが、私の実感としては「そんな悠長なことしてるかなぁ」というのが正直なところですね。
ゆっくりはっきり発音すればそのようになるかもしれませんが、実際の英会話は速いです。
あまりに速いので発音が犠牲になり、もごもごした音でごまかされる母音の弱音化(reduction)などがしょっちゅう起こります。
そのような中で、このような「3ビート発音」を行う暇なんてないのでは?というのが私の2番目の疑問です。
疑問点3:「リズムやイントネーションも大切」という認識がない
最後のポイントは、発音を重視するあまり「実際の英会話ではリズムやイントネーションも大切」という認識がない点。
本書では「忘れてもいい」と書いていますが、通じる英語発音では発音そのものだけでなく「英語のリズムはイントネーション」は非常に重要です。
発音だけよくても、リズムやイントネーションが日本語のままでは、やっぱり通じない日本語発音のままです。
上に挙げた Amazon の説明文では「イントネーションやアクセントの位置など忘れてもいい」と書いてありますが、私に言わせればそれは全くの間違いです。
むしろ、それらは英語を話すうえでの「出発点」となる重要なものなんですね。
プロの発音トレーナーの間では常識的なこと
私がアメリカでプロのトレーナーから受けた発音練習コースでは、講義が「発音編」と「イントネーション編」に分かれていて、リズムやイントネーションについてもガッツリと教わりました。
初回の講義で「プロのトレーナーの間では、リズムやイントネーションが大事なのは常識」と教わったことを今でも覚えています。
そして、そのような英語のリズムとイントネーションのルールに従って話すと、とたんに自分の英語が通じるようになったのは驚きでした。
実際には発音自体の向上との合わせ技なのでしょうが、その時の「パッと目の前の雲が晴れたような気分」は今でもはっきりと覚えています。
このようにして普段から英語環境で英語を話している私からすると、「イントネーションとリズムを無視してもいい」というのは、どう考えても無理のある話ですね。
ところで先日、著者の川上氏が英語で話している動画を偶然見つけたのですが、それを見る限りではきちんとしたイントネーションやリズムで話していました。
「おお、上手だなぁ」と思って見ていたのですが、こちらの本ではそのように否定的なことを書かれていたのが非常に不思議です。
まとめ
今回は、英語喉という本について、同意できる点と疑問点を紹介しました。
誤解しないで頂きたいのは、私は「発音練習」そのものに疑問を持っているのではなく、
本書で書かれている「発音の仕方」に疑問を持っている、ということです。
私は発音練習によって一気に英会話力が上昇した経験がありますので、発音練習は英会話の基礎とまで考えています。
あなたが本当に通じる英語発音を身につければ、英語を話すときにも自信を持って話せますし、
その自信は英会話をモノにする大きなジャンプ台になるんですね。
ですので、あなたもぜひ発音練習によって通じる英語発音と自信を手に入れてほしいと思います。
でも「リズムとイントネーション」まで踏み込んで説明しているもの、となると、残念ながらけっこう限られてくるのが現実です。
「じゃあ、どれを選べばいいの…?」
という疑問を持つあなたのために、私がおすすめできる英会話教材を「おすすめ英会話教材ランキング」の記事にまとめました。
あなたの英会話練習のプラスになればと思います。
《最新おすすめ英会話教材ランキング》
英会話教材には欠かせない5つのポイントとは?
英語圏生活10年超の【海外サラリーマン むさし】が自分で試して検証した
「最新おすすめ英会話教材」を紹介!
⇒ 【最新ランキング】初心者にもおすすめな英会話の独学用教材5選!
>>> トップページ【英会話教材おすすめ】人気教材をランキングで比較!へ