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むさしです。
英文法が苦手、嫌い。英会話に英文法は必要ない。
このような意見を目にすることがありますよね。
あなたがそのような苦手意識を持っているのであれば、文法の学習はお経か宇宙語のようにしか思えない苦行でしょう。
英会話に英文法は必要ない、と言いたくなる気持ちも分かります。
しかし、文法は英会話にとって非常に大切であると同時に、見方を変えるとあなたの英会話を楽にしてくれる存在、あなたの味方なのです。
今回は、英文法がなぜ大切なのか、そして英文法との「苦行にならない付き合い方」を考えていきたいと思います。
この記事の目次
英文法は英会話の敵?
「英文法不要論」に対する疑問
文法を無視した英会話は「目隠しダーツ」のようなもの
英会話上達法に関するウェブサイトなどを見ていると、世の中には「英文法なんて英会話に必要ない」と主張する(不思議な)人達が少なからずいることに気が付きます。
曰く「英文法を考えすぎると英語が話せなくなるから」とか「話の中身の方が大切だから」とか、根拠は色々です。
でも、どうやってルール無しで英文を組み立てるんでしょうか。
フィーリングでやってるんでしょうか。
実際にそれで伝わるのか、私には少し疑問だったりもします。
なんだか、目隠ししてダーツをやるように思えてきますね。
それでは投げたダーツがあらぬ方向に飛び、全く分かってもらえない、または間違って理解されることのほうが多いはずです。
相手の善意と理解力に依存したコミュニケーションは相手に負担
私に言わせれば、「それでも分かってくれるはず」という主張は、相手の善意と理解力に依存したコミュニケーションです。
それが相手に大きな負担をかけてしまうことは、逆の立場から考えてみればすぐに分かると思います。
実際に私はアメリカで、「ハァ?」という顔だけではなく、実際に面と向かって「ハァ?」とか「言ってること分からないんだけど」と言われたことも数多くあります。
これは面と向かってやられると、実は精神的にけっこうなダメージを受けるんですよね。
あなたもそうならないよう、相手に伝わる「ルールに沿った英語」を話す力を身につけていく方が安全だと、私の経験からも断言できます。
この点については、他の人のブログで興味深い記事がありましたので、こちらで紹介しつつ私の考えを述べています。
【参考記事】
TOEICは英会話に無意味?高得点でも話せない人と低くても話せる人を比べてみると
英文法が不要な根拠の不思議
英文法が英会話の足を引っ張っている?
英文法を気にすると英語が話せなくなる、という場合、英文法そのものが英会話の足を引っ張っているわけではありません。
気にしなくてもできるレベルまで身に付いていないから、気にすると話せなくなるだけです。
そして文法を無視した結果、文法がガチャガチャなブロークンイングリッシュになってしまい、英会話に苦労することになるわけです。
私はアメリカで、そのような状態で苦しむ日本人を数多く見てきました。
「話の中身が大事」と言うけれど
話の中身云々、という点についても、その主張がよく理解できません。
話の中身と英文法って反比例でもするんですかね。
いや、そもそも関係があるのでしょうか。
確かに、英語が流暢でも話の中身の無い人はいます。
しかし、しっかりとした話を(必ずしも流暢でなくても)きちんとした英語で話す人も同様に多くいる、ということも事実です。
「英語が話せる人は仕事ができない」という変な意見を見たことがありますが、本当は「英語しかできない人を雇った会社の責任」ですよね。
話の中身はもちろん大事です。
しかし「話の中身が大事だから」という根拠で相手に伝わる英語を話す努力をしないでいると、中身自体も実際には伝わらない危険性がある、と思うのは私だけでしょうか。
さて、このように英文法の必要性を語ってきましたが、文法と付き合うにはその正体を知っておくと便利です。
では、「英文法の正体」とは一体何なのでしょうか。
英文法の正体とは
英文法は無味乾燥な知識ではない
世間には誤解が多いようなのですが、英文法というものは細かい知識を問うものではありません。
三単現のsなんて、ネイティブだって時々付け忘れます。
また、細かい文法用語なんて覚えても、誰も幸せになりません。
そうではなく、文法というものは「こう言いたい時はこう言う」という法則・パターンの集合体、と考えるべきものです。
人々が話しているものを観察して分析すると、「このようなルールがあるらしい」という位置づけなんですね。
また、英文法は定規やコンパスなどの道具のように考えることもできます。
直線が引きたければ定規を使いますし、きれいな円を描きたければコンパスを使いますよね。
文法を無視する人は、便利な道具があるのに使わず、曲がった線や歪んだ円を描いている状態です。
その結果、自分が伝えようとしていることが相手に伝わらない可能性も出てきてしまうのです。
文法を学ぶということの意味
日本語でも英語でも、あなたが話す時には言いたいことによって文の形は変わってくるはずですよね。
例えば
- 普通の文を否定形にするにはどうするか
- 場所や時間を聞くにはどうするか
- ~したい、と言うにはどうするか
- もし~だったら、と言うにはどうするか
このような、「~と言いたい時はどうするか」というルールや道具立てをまとめたものが「英文法」なのです。
ただし、中にはルール通りにならない場合もありますが、それも含めてルールですので、一緒に丸呑みして使えるようにすることも大切ではありますが。
ですので、「文法を学ぶ=表現の仕方を学ぶ」ということにつながりますから、英語を話すには英文法(=英語の表現ルール)がまず必要なことはすぐ分かりますよね。
それ無しでは、相手に通じる英文の組み立て方が分からず、単語の羅列になってしまうわけです。
英文法との付き合い方
英文法は使ってナンボ。細かい知識にはこだわらない
はっきりと断言してしまえば、細かい文法用語なんて覚える必要はありません。
今、あなたに必要な英文法との付き合い方とは、知識をため込むことでは無いのです。
それよりもルールや基本技術が使えるように練習することが大切。
スポーツと同じですね。
それができてこそ、応用技(決まり文句や慣用句)にも手が出せるようになるし、実際の試合(実際の英会話)にも対応できるようになるわけです。
おすすめの英文法習得法
まずは中学校レベルの教科書の復習から始めることがおすすめです。
特に「理解したうえで暗記する」ということが効果的です。
次に、あなたの日々の英会話練習の中で、英文法を積極的に使う練習、具体的には文法に沿った英作文を繰り返すこと。
英文法が考えなくても使えるレベルにまで体に(=脳に)刻み込んでいくことためには、非常に効果的な方法です。
このように「知る⇒使える」という感じで段階的に練習し、最終的には考えなくても使って英文を組み立てられる、という力を養っていくのが王道ですね。
また、細かい知識ではなく使うことに重点を置いた英文法の参考書をこちらの記事で紹介していますので、参考にしてみてください。
【参考記事】
私が「1億人の英文法」をおすすめしない理由とおすすめの参考書
まとめ
いかがでしたか。
今回は、英文法がいかにあなたの英会話を助けてくれるか、を説明しました。
繰り返しになりますが、英文法は無味乾燥な知識ではなく、「こう言いたい時はこう言う」というルールの集合体です。
これは、あなたの英会話の基礎であり、あなたの英会話を助ける強力な道具でもあるわけですね。
気にしなくてもよい、という理由で英文法を無視した英語を話すことは、相手の善意と理解力に依存したコミュニケーションであり、相手に大きな負担をかけてしまいます。
英文法の大切さを確認し、気にしなくても使えるレベルまで使う練習を積み重ねていって欲しいと思います。
むさし