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こんにちは、むさしです。
海外ドラマみたいに、スラスラっと英語が話せたらカッコいいなぁ。
そう憧れて英会話フレーズを暗記してスクールや英会話カフェなんかに行ってみても、貝になってしまったり言葉に詰まったりして「話せなかった…」と落ち込んでないですか?
旅行フレーズを覚えて海外旅行や出張に行ったけど、なかなか英語でうまく話せず、最後はカタコトや身振り手振りで乗り切ってしまって「もっと話せたら…」と不満を感じてないですか?
私も同じような経験を山ほどしてきましたが、やはりフレーズの丸暗記では英語は話せるようにならないんですね(経験済み)。
あなたの英語力の状態にもよりますが、土台のないところでネイティブのフレーズを丸暗記しても、全然使いこなせずに終わってしまいます(これも経験済み)。
それよりも私は、「英語感覚」を身につけて土台を固めることが先決、と考えています。
ネイティブフレーズで表現を磨いていくのは、それからでも遅くはありません。
「急がば回れ(Make haste slowly)」というやつですね。
そこで今回の記事では、英会話フレーズの丸暗記がダメな理由と、英会話の土台となる「英語感覚」の身につけ方を説明していきます。
この記事の目次
英会話フレーズ暗記はなぜダメ?
ネイティブの英語は意外と普通
英会話フレーズの丸暗記では英語は話せない。
どうしてかと言うと、「実はネイティブの英語は意外と普通」だからなんですね。
それを実際の英語で説明したいと思います。
下の動画は、私のお気に入りのコメディ “King of Queens” の一場面です。
この場面は、主人公の Doug(若い方)が、奥さんが遅くなるのでピザを注文しようとし、奥さんのお父さんである Arthur(老人の方)と口論になるシーンなんですね。
この動画ではどのような表現が使われているのか、それを見ていきましょう。
全部のセリフを書いていると長くなりますので、前半部分のセリフを下に載せていきます。
Doug (D): Ok honey, alright then see you at around 10. Alright, bye-bye.(OK、ハニー、じゃあ10時ごろに)
D: Listen, Carrie is not gonna make it home for dinner, so I’m gonna, I’m gonna order some pizza.(あのさ、キャリーは今晩、夕飯に帰ってこないからピザを注文するよ)
Arthur (A): From where?(どこから?)
D: From Sal’s.(サルズから)
A: Sal’s? Have you lost your mind?(サルズ?気でも違ったのか!?)
D: Ok, not Sal’s. But from where?(オーケー、サルズはやめとくよ。でも、どこからさ?)
A: A neighborhood joint called Domino’s.(近所の、ドミノってピザ屋からだ(ミを強く発音))
D: … Domino’s?(…ひょっとしてドミノ?(ドを強く発音))
A: Yeah, that’s it.(ああ、そこだ)
D: Alright, what’s the number?(分かったよ。電話番号は?)
A: It’s 1-718-11-68-011.
D: Look, I have way too many numbers, okay?(ちょっと待った。番号多すぎなんだけど)
A: I gave you the area code!(市外局番も入っとるんだ!)
D: We’re in the area code! I don’t need to dial it!(同じ市外局番の中だっての!ダイヤルする必要ないだろ!)
だんだんヒートアップしてきましたね。
この後、電話番号を巡ってさらにトンチンカンなやり取りが続き、最後は両方ともキレてしまいます。
実際に義理のお父さんとこんな口論すること考えたら、こんな感じに激しく言える気がしませんが…。
それはともかく、これを見ると分かるように、この一連のセリフはどれも文法通りの普通の英文ばかりですよね。
上のセリフの中でも、慣用句的な表現は最初の
- Make it home(家に戻る)
と、Sal’sからピザを取る、と言ったときのArthurのセリフに使われている
- Lose one’s mind(正気を失う、気が違う)
の2つだけ。
残りのセリフは、多少主語などが省略されたりはしていますが、基本的には文法通りに作られた普通の文ですよね。
最後に Doug がキレてしまった場面でも
D: I already dialed the 6! I can’t go back in time and slip a 1 in!(もう6をダイヤルしちまったよ!今から時間をさかのぼって1を入れられないだろ!)
A: Well, whose fault is that!(おい、そりゃいったい誰のせいなんだ!?)
というセリフで、何も難しい表現やネイティブ流表現などは出てきません。
スピードが速いので聞き取るのは苦労しますが。
あなたの英語は「首から美脚」?
ネイティブ流のカッコいいフレーズの丸覚えは、これと真逆を行っています。
このような「普通の英文」は作れなくてボロボロだけど、受け答えとか特定のフレーズだけは流暢。
これって、なんか変な感じですよね。
これを例えるなら、「パッと見はスタイルのいい美脚だけど、それが首や肩から生えている」状態。
全体のバランスがひどく悪く、相手も「お、おう…」という反応になってしまいます。
それよりも、パッと見はゴツくて毛むくじゃらな脚でも、生えるべきところから生えているほうが、人の形をしている分ずっと上。
そうやって「人の形」になってから、表現を磨いてスタイルを良くしていけばいいわけです。
そのように「人の形」をした英語を話すための土台が、「英語感覚」というわけなんですね。
英会話の土台=英語感覚とは
英語を「道具として使う感覚」
「英語の感覚」というと、「なんか一生ムリそう…」とか思うかもしれませんね。
確かに、アメリカ人と結婚して何十年もアメリカに住んでいる人でも、ジョークのニュアンスが完全には分からない、とも言います。
でもここでいう「英語の感覚」というのは、そういう「英語を極める」というのとは別の話。
むしろ、英語を「道具として使う感覚」ですので、訓練で身につけることができます。
車の運転などと同じです。車の運転も、最初はぎこちなくても慣れて自然になっていきますよね。
私が考えるに、英語の感覚は次の2つに分かれます。
- 英語の「語順の感覚」
- 英語の「音の感覚」
では、それぞれを見ていきたいと思います。
まず大事なのは「語順の感覚」
「知ってる」を「できる」に
まず大事なものは、英語の「語順感覚」、つまり「単語の並べ方のルール」ですね。
単語をどのような順番で並べるか、ということを「考えなくてもできる」状態にすることが英会話の第一歩です。
あなたは、「そんなの、学校で習ったし知ってるよ」と言いたくなるかもしれません。
でも私が見てきた限りでは、英語が話せなくて苦しんでいる人には、この段階で「正しい語順や使い方で英文がパッと作れない」という状態の人がとても多いんですね。
時間をかければできたりもしますが、それでもボロボロな人もいます。
その結果、英語を話そうとしても出てこずに「え~と…」と詰まってしまうわけで、やはり「知ってる」を「できる」にする必要があるわけです。
英語を感覚に染み込ませるには
「知ってる」を「できる」にするためには、英語のルール(基本文法)を感覚に染み込ませることが必要。
英語が苦手で大嫌いだった私は以前、「話の流れのあるものに自分が入り込んで音読する」ということをよくやっていました。
ストーリー性のある題材に入り込んで音読すると、情景のイメージや心の動きと英語が結び付いて、英語のルールが体に染み込んで感覚で分かるようになっていくんですね。
しかも、英語の勉強を楽しめる、という効果までついてきます。
プロフィールにあるように、私は「絶対音読主義者」ですので、ある程度基礎を学んだら自分の読みやすい小説や童話などに入り込んで音読することが、強く強くおすすめです。
また英語の語順感覚は、話すだけでなく「英語を英語のまま理解」するときにも必要となります。
この点については「英会話に必須!「英語を英語のまま理解」する力の鍛え方」の記事で紹介していますので、こちらも参考にしてみてください。
発音練習で「音の感覚」を得る
発音練習は英会話の基礎
さて、このようにして語順感覚を身につけても、それだけでは道半ば。英語は「話す・聞く」ですから、音の感覚も身につける必要があります。
最終的には「音として相手に伝わる、音を聞いて分かる」という状態になる必要があるわけですよね。
特に英語の聞き取り、リスニングは日本人の難敵ですから、あなたも鍛えるのに苦労しているのではないでしょうか。
でも「英語リスニング教材は買うな!その理由とおすすめの上達法」(姉妹サイト記事)の中でも触れているように、私は基本的にリスニング教材は役に立たないと思っています。
なぜなら、脳の成長期(14才頃まで)を過ぎてしまった大人には、「英語の音を聞いて覚える」能力がないからなんですね。
では、どうするか。
あなただけにこっそり教えますが、実は「英語の音を知り、自分でできるようになる」こと、つまり「発音練習」が唯一にして最も効果的な方法。
正直言うと、私は「発音練習は英会話の基礎」とまで考えています。
「発音練習」というと「何度も挑戦したけど難しい…」と思うかもしれませんが、きちんと学んで練習すれば3カ月程度で通じる発音は身につきます。
ただし「正しく学ぶ」というのがポイントで、見よう見まねの自己流では、一生かかっても身につかず、かえって間違った発音になってしまう危険性も。
そうすると、音の感覚をつかむどころか逆効果となってしまいますので、注意が必要です。
え、発音練習だけではダメ?
また、「英語の発音練習」というと「R」とか「V」とか「TH」とかの「音」だけに注目しがちですが、それは発音の半分だけしか指していません。
英語の発音とは、それ以前の「英語らしい話し方」の部分もあり、それがズレると発音が良くても「通じない日本人英語」になってしまうんですね。
例えばこんな感じ。
使われている英文は同じですが、最初の音声は「個々の発音だけ良い」話し方、2番目のは「英語らしい」話し方です(音声は私「むさし」です)。
ルールを知れば「なんだ、そんなことなんだ」という感じな単純なことなんですが、実はこれができるようになると、「通じない・聞き取れない」だった英語が「通じる・聞き取れる」に激変するんですね(これも経験済みです)。
英語の発音練習には、このような「英語らしい」話し方の練習も含まれますので、教材を選ぶときには、その点を見極めることが大切です。
「英語感覚」って日本人にも身につくの?
ここまでで「英語感覚」の身につけ方を説明してきましたが、あなたは「それって、本当に日本人に身につくの?」と疑問に思っているかもしれませんね。
私の経験と観察から言えば「きちんと練習すれば身につく」というのが結論。
それは逆に言えば、「このような考えできちんと練習しないと身につかない」ということでもあり、自己流の練習は絶対におすすめしません。
ですので、私が教材を選ぶなら次のような教材をおすすめします。
- 英語のルールや表現などの説明があること
- 話に入り込める題材を使っていること
- 発音について、きちんと「発音以前のルール」から説明があること
このような「きちんとした説明」というのは、大人の英会話学習には非常に重要です。
繰り返しになりますが、大人は子供と違って「自然に英語を覚える」ということは無理ですから。
そのような説明のある教材を使って、少しでもいいから「毎日、実際に英語を口に出す」練習を重ねることで、英語の感覚があなたの中に染み込んでいくんですね。
世の中には星の数ほどの英会話教材がありますが、説明のないもの、役に立たないものも数多くあります。
あなたが英会話教材を選ぶ際には、「初心者も安心!失敗しないための英会話教材の選び方&おすすめランキング」(姉妹サイト記事)を参考に、きちんとした英会話教材で練習して「英語感覚」をしっかり身につけてほしいな、と思います。