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英会話と精神論、かっこよく言うと『マインドセット』。
英会話に関する書籍やサイトなどでは、よく見られるテーマですよね。
曰く『マインドセットが何より大事』、曰く『英会話の前にコミットメントが必要』などなど。
でも実は、この手の精神論は英会話の習得には必要ありません。
なぜなら、大切なのは精神論ではなくて工夫、特に『自分をノセてその気にさせる工夫』なのです。これは精神論とは全く別の『技術』です。
そのことが、継続と蓄積、そして英会話の上達につながるのです。
それに、『頑張らなきゃ』とか『できるようにならなきゃ』という気持ちは、あなたの気持ちを縮ませ、かえって英会話の習得のじゃまになってしまいます。
そこで今回の記事では、『歯を食いしばって頑張る根性論』ではなく、『楽しく続けるための工夫』について考えていきます。
この記事の目次
英会話の練習を続けるための工夫に必要なのは、根性やマインドセットではなく○○
『英会話上達には量が必要』という事実
誤解の無いのように書いておきますが、私は英会話が『楽に』習得できるとは考えていません。『楽しく』は可能だと思いますが。
楽に、というのは、1日たった3分の勉強で、とか、聞き流すだけで、と言った、努力が不要かのように説く世迷いごとの類です。
残念なことに、世の中はこのような世迷いごとで溢れていますが、これらは重要なことを無視しています。
それは、『英会話の上達には量が必要』という事実です。
もちろん質も大事ですが、量の蓄積がなによりもモノを言うのです。そしてその蓄積が熟成して自分のものになるには、継続的な蓄積が必要になってきます。
参考記事:
https://eikaiwa4toeic700.com/training/essential-training/two-important-elements/
そのためには、どのような英会話の練習に取り組むか、ということと同時に、どうやって継続するか、ということも大切になってくるのです。
モチベーション、マインドセットはあてにならない?
やる気は一時的でしかない
さあやるぞ、と腕まくりしてみたはいいけれども、3日ともたずに終わってしまった。
このような経験は、あなたにもきっとあるでしょう。私も数えきれないぐらいあります。
一気に燃え上がったモチベーションは、脳内麻薬による一時的な気持ちの高ぶりですから、脳内麻薬が切れたらそこで終わりです。
それを継続することのほうが、実は非常に難しいのです。
やる気に頼らずに継続するための3つのステップ
では、どうするか。こちらも脳内麻薬を出す工夫をするのです。
本当の麻薬はダメですよ!危ないですから。
脳内麻薬を出す方法はいくつかありますが、基本的には次の3つのステップが大事となってきます。
- ハードルを下げること
- 進み具合が見えること
- ご褒美をあげること
ハードルを下げることは、挫折を防ぐためにも重要です。
それこそ最初は『1分取り組んだだけ』とか『3行音読しただけ』でもよしとして、ハードルを下げることが必要です。
腰を上げて取り組むことが何よりも大事なので、量を増やすのは後からにしてもかまいません。
最初から全速力で取り組むと、あっという間に燃え尽きてしまいますから、それは厳禁ですよ。
また、全体(取り組んでいる音読教材、発音練習教材など)の中で自分がどこにいるかが分かると、残りがどれぐらいあるか、どれぐらいの努力が必要か、ということが分かります。
先の見えない努力、というのは挫折を招きやすいですが、先が見えている状態だと『よしやるぞ』という気持ちが沸いてくるものです。
もし先が果てしなく遠いのであれば、目標を小分けにして、近めに『とりあえずの目標』を設定するのも手ですね。
参考記事:
https://eikaiwa4toeic700.com/training/essential-training/your-first-goal/
ご褒美の効果については、特に説明はいらないでしょう。あなたの脳を手なずける最も効果的な方法です。
脳内麻薬は精神論よりも強力!
これらの方法によって、あなたの脳は『これをやるといいことがある』と学習し、ご褒美物質(脳内麻薬)を出してくれるのです。
この脳内麻薬は非常に強力なので、一時的な精神論よりも効果があります。
このことが継続を生み出し、蓄積と熟成を引き起こしてくれるのです。
日常生活に見る、自分を上手くノセる工夫
スタンプカードは脳内麻薬を利用
以上を踏まえた『上手くノセる工夫』の例として、スタンプカードが挙げられます。
スタンプカードというものは、お店がお客さんに『また来てくださいね』というメッセージを込めて配るものですが、実は上に書いた仕組みを利用しているのです。
まず、スタンプ1個あたりの金額は小さめに設定されています。ハードルを下げているわけですね。
そして、スタンプが何個集まったら景品がもらえるのか、自分はどこにいるのか、あと何個なのか、一目で分かります。
最後に、スタンプが貯まると景品と交換、というご褒美がありますし、そこへ一歩近づいていくだけでも、なんとなく幸せな気持ちになりますよね。
それこそがスタンプカードの思うつぼなのです(大げさですが)。
自分で自分にスタンプカードを発行してみる
このようにして、スタンプカードはお客に戻ってきてもらうツールとして機能しているのですが、これを日常生活でも同じように利用することができます。
あなたが、あなたにスタンプカードを発行するのです。
スタンプの個数、条件、景品などは、自由に設定して構いません。思い切り自分を甘やかしても問題なし、むしろ甘やかすための道具でもあるのです。
甘やかすことによって、脳内麻薬を出させることが目的です。
自分をほめてあげる
また、スタンプでの景品と同じ効果として、『自分をほめる』という方法もあります。
英会話で悩む人は、うっかりするとできない自分を責めがちですが、それは逆効果になりかねません。
自分が少しでも上達した、例えば前よりも英文がスムーズに読めるようになった、リズムに乗って読めるようになった、英作文が少し楽になった。
そのような小さな変化でもほめてあげることが、脳内麻薬を出して自分をノセることにつながります。
英会話で本当に精神論が必要な場面
精神論不要論の例外
さて、以上のように『精神論不要論』を唱えてきましたが、例外はあります。
それは、英会話の練習における精神論、ではなく、実戦における精神論の必要性です。
実際の英会話では、萎縮して声が小さくなりがちです。
そのような場合に、不安を振り払い堂々と話したい場面では、精神論、特に『強気のマインドセット』が役に立ちます。
英会話の自信の無さが、声の小ささにつながる
自信がないときには声が小さくなってしまうのは自然なことですが、自信が無さげで声が小さい場合には、コミュニケーションで不利になってしまいます。
特に英語の場合、ある程度は『他人を押しのけてでも話す』という気持ちも必要になるのも事実です(あまり褒められることではないですが)。
最近では無くなりましたが、アメリカに渡ってしばらくのうちは、大声で英語を話す、ということができませんでした。
いや、英語でコミュニケーションを取る、ということ自体ができなかったのですが、『もっと大きな声で』と言われたことはよくありました。
自信がないから声が小さくなる。相手は聞こえないので『ハァ?』と聞き返す(アメリカ人は本当にこう言います)。
そうすると『げ、通じなかった・・』とパニックになって、ますます会話にならずに撃沈・・・。
これがお決まりのパターンでしたね。
ですので滞在して2~3年を過ぎた頃からは、無理矢理自分に自信を持たせるために『この野郎ぉ、おれの話を聞きやがれぇ~』と(内心だけ)ケンカ腰になって英語を話していたものでした。
その後、自分の英語が上達して通じる手ごたえを得てくると、自然とそのような必要も無くなっていきました。
間違えることに対する心配
また、『間違えたらどうしよう』ということから、委縮して声が小さくなることもありますよね。
普段から練習していても、間違えることはよくあります。それは問題ありません。
『誰だって間違えることはある』とか『通じなかったら相手が悪い』と考えるぐらいがちょうどいいかもしれません。
ただし、これは『普段の練習は必要ない。通じない英語でも堂々と話しましょう』ということとは違います。
堂々と話しましょう、という部分は同意しますが、通じない英語を振りかざして相手の負担を増やすことには同意できません。それはコミュニケーションにとってマイナスです。
普段の練習は必要で、それでも間違えることはしょうがない、という意味です。
実際の英語では堂々と、というよりも『気を強く持って』臨むことがコミュニケーションの成功につながります。
そのためには日頃の練習による自信と、その場での心の持ちようで乗り切ることが大切です。
まとめ
ここまでの内容を、以下に3点でまとめます。
- 英会話の上達には、精神論やマインドセットよりも、『楽しく続ける工夫』の方が大切。継続が蓄積を生み、そして熟成と英会話の上達をもたらす。
- 一時的なやる気は継続が難しい。継続のためには、自分をノセて脳内麻薬を出させる工夫が有効である。
- お店で配っているスタンプカードを応用し、英会話の練習でも自分でスタンプカードを発行して脳内麻薬を出させる方法が考えられる。
精神論よりも工夫。それが、あなたが英会話をモノにしていくヒントなのです。
あなたが英会話をモノにし、あなたの望む未来を手に入れることを、私は応援しています
MUSASHI