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TEDでビジネス英語を学ぶ。一般的な学習方法として定着してきた感がありますね。
スクリプトが見られるアプリなどもあり、英会話の教材としても使えそうにも思えます。
でも、TEDを見ることでビジネス英語が話せるようになるのか、という点については「ちょっと違うかな」と思う点があるのも事実です。
誤解の無いように言いますと、これは「見ているだけで練習しないと英語は話せるようにならないよ」という話ではありません。
そうではなく、TEDで練習してもビジネス英会話が使えるようにならないかも、という話です。
なぜTEDはビジネス英会話の練習にならないのか。
今回の記事ではその点を考えていきます。
(Credit: TED logo By TED inc. Vectorization: Totie – https://www.ted.com, Public Domain, Link)
この記事の目次
TEDで英語を学習する方法がビジネス英会話の練習にはならない理由
TEDをどのようにビジネス英会話の学習に活用するか
本題に入る前に、TEDをどのようにビジネス英会話の学習に活用できるか、という点を考えてみたいと思います。
ご存知のように、TED(正確にはTED Conference)という催しは、Ideas worth spreading(拡散する価値のあるアイディア)をキーワードに、様々な分野の人が様々なテーマで発表をするものです。
ですので、基本的なスタイルは「自分の伝えたいことを赤の他人に説明する」という形になります。
そのため、スピーカーはテーマについて分かりやすく、聞きやすい英語で話してくれます。
このような論理的で適度なスピード(またはやや遅め)で話される英語は、あなたが英語の論理構造をつかみ、英語を英語のまま理解する練習として利用できますね。
また、そのような英語の構造をつかんだうえで、自分で英文を組み立てる練習をすれば、物事を論理的に説明する練習にもなります(ボキャブラリーも必要ですが)。
これは、ビジネス英語に必要な要素の一つでもあります。
多くのサイトやブログで『TEDをビジネス英会話の練習に活用しよう』とすすめているのは、ビジネス英語の一面としては正しい意見でしょう。
でも、それだけでは『ビジネス英会話』としては片手落ちである、と私は考えています。
TEDの英語とビジネス英会話の違い
先ほども書きましたが、TEDは基本的に「人前でのプレゼンテーション」であり、使われている英語も「プレゼンテーションのための英語」です。
プレゼンテーションの英語の特徴は、通常の英会話の英語に比べて発音がクリアであったり、あるいはスピードも遅めであったり、と聞きやすく話されることです(そうでない人もいますが・・)。
ですので、TEDがビジネス英会話の練習になりにくい理由の一つは、このようなプレゼンテーション英語の特徴によって、通常のスピードや発音に対応しにくくなる、という点です。
でも、理由はそれだけではありません。
TEDがビジネス英会話の学習方法になりにくい本当の理由
上に挙げた点も英会話練習になりにくい理由の一つではありますが、より大きな理由は「プレゼンテーションは一方通行」である点です。
論理的に何かを伝える英語力はビジネス英語の第一の条件ですが、あなたが英語環境で働く場合には、そのような一方通行の伝達だけではないですよね。
ふつうは、双方向のコミュニケーションの英語が必要になってくるはずです。
そのために必要な、特に仕事の場で必要なコミュニケーションのための英語は、TEDを通しては身につかないものなのです。
仕事の場で必要となるのは「コミュニケーションのための英語」
上にも書いたように、実際のビジネスの場での英語は「双方向のコミュニケーション」が主体です。
何かを依頼する、確認する、議論する、などなど。。。一方的に伝えたら全てが動く、なんていう状態は夢のまた夢ですよね(正直憧れますが・・・)。
そのような場合、それぞれの場に一般的な言い方や適切な言い方というものがあります。
実は英語にも敬語や丁寧な言い方があり、言い方を間違えてしまうと失礼であったりコミュニケーションがうまくいかなかったり、ということにもなってしまうのです。
このような「社会人としてふさわしいコミュニケーション英語」というものは、ある程度ムラなく学ばないと身につきません。
TEDを繰り返し見て真似をしているだけでは、ムラなく網羅的には学べないのです。
ビジネスコミュニケーションのための英語の学習方法
それでは、どのようにしたらビジネスコミュニケーションのための英語を身につけることができるのでしょうか。
そのためには、次の3つのことが必要と私は考えます。
ビジネスの場にふさわしい表現をムラなく学習する
先ほども書いたように、ビジネスにはビジネスにふさわしい英語表現や通常よく使われる英語表現があります。
もちろん日本語にもありますし、人間社会にはつきものの話ですよね。
しかしそのような知識は、見よう見まねや寄せ集めでは、身につけるのには無理があります。
あるときはコミュニケーションがスムーズ、あるときはうまくいかない、などということになってしまいます。
そのような問題を避けるためには、多くは必要ないですが、何か一つ良いテキストを決め、その内容を徹底的に吸収することが効果的な上達方法です。
英会話を楽にする部品=チャンク(かたまり)を吸収
これも上の話と関連しますが、職場で業務をする上でのコミュニケーションにはよく使われる言い回しなどがあります。
例えば「今日の終わりまでに」であれば
“by the end of business today”
ですし、「売上の金額を再確認する」であれば
“double-check the sales figure”
のような感じですね。
このような、ひとかたまりでよく使われる言い回し(チャンク)を使えるようになると、自分で英語を組み立てて話す場合に非常に楽になります。
英文の部品がそこにあるわけですから、それを組み込めばいい、というわけなんですね。
ですので、このような「ビジネスチャンク」に多く触れ、それを使えるようにすると、ビジネス英語上達が強力に上達します。
何よりも重要なことは、英語表現を使い回す練習をすること
上の2点に加えて、私が何よりも重要と考えていることは、実際に使い回す練習をすることです。
特に英語表現を使う練習、具体的には、英文の大枠は変えずに中身を変える、という練習です。
少し分かりづらいかもしれないので例を挙げると、例えば「~していただけませんか」という言い方は
“Would you mind ~ing?”
という言い方をすることがあります(もちろん他の言い方もたくさんあります)。
この “~ing” の部分を入れ替えて練習するわけですね。
「そこの窓を開けて頂けませんか?」であれば
“Would you mind opening that window?“
ですし、「この箱をそこに置いて頂けますか?」であれば
“Would you mind putting this box over there?“
になります。
このような練習をパターン練習と言いますが、このような練習を重ねるがビジネス英語習得のカギになってきます。
でも、自分で練習することはなかなか難しいかも・・と感じているかもしれませんね。
あるいは、英会話学校へ通ったりオンラインスクールを使う時間がない、という悩みもあるかもしれません。
そのような悩みがある場合には、すき間時間を利用してビジネス英語を勉強するための、次の記事が参考になるはずです。
参考記事:虫が良すぎ?すき間時間を使って「挨拶だけで終わらない本物のビジネス英語」を勉強する方法
まとめ:ビジネス英語は難しい?
以上でTEDがビジネス英会話の練習にはなりにくい理由、そしてビジネス英会話を身につけるための勉強方法について説明してきました。
何かとても難しそうな感じがするかもしれませんが、そんなことはありません。
私からすれば、話題が決まっている分だけビジネス英語の方が日常の雑談より楽なぐらいですね。
もしあなたが、必要な練習を通じてビジネス英語を身につければ、こんなことだって可能になります。
- 自分の英語が間違っていないか、と不安にならずに堂々と英語が話せる
- 自分の考えた通りに相手に伝わり、英語でのコミュニケーションのストレスが激減
- きちんとした社会人、ビジネスパーソンとして取り扱ってもらえる
どれもいいことばかりですね。
上に挙げた記事も参考にして、本当のビジネス英語をモノにしていきましょう。
あなたが英会話をモノにし、あなたの望む未来を手に入れることを、私は応援しています。
MUSASHI