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日本人が英語を使うと、日本語の感覚から受身形をよく使ってしまう、という話を聞いたことがあります。
これは、つい間接的に言おうとしてしまうことが原因とも言われています。
例えば『~と考えられる』と言うときに、“It is thought ~” などとしてしまう、という指摘ですね。
これに対して英語では、どちらかというと直接的、能動的に “I think/believe ~” と表現することが普通です(論文や専門職(弁護士や会計士など)の意見書などでは、このような受け身形の表現も使われますが)。
しかし英語表現の中には、日本人から見ると『なんで受身?』と思ってしまうものもあるのも事実です。
そこで今回の記事では、そんな『なぜか受身』な表現を紹介していきます。
はじめに断っておきますが、これは理屈ではありません。
丸飲みして覚えていって下さいね。
この記事の目次
英語では感情表現は基本的に受身形
感情関係の動詞は、基本的に『~させる』の意味
受身形の代表としてまず挙げられるのが、感情表現です。
感情表現の中でも、sad や angry など、もとから形容詞だったものは除きますが、動詞から来たもの、例えば surprised や pleased などは、基本的に受身です。
それはこれらの動詞が『~させる』という意味だからであり、例えば surprise は『驚かせる』、please は『喜ばせる』となります。
例外は、そうですね、“marvel(驚く)”ぐらいですかね。
今までに日常会話での遭遇率は0%ですが、通常は “marvelous” など、形容詞で使うことのほうが多い単語です。
俺ってイケてるぜ!
このような感情表現でたまに見かける誤用で、“I am excited!(すごく楽しい!)”と言おう(書こう)として “I am exciting!” と言って(書いて)しまうケースを見かけることがあります。
これだと、『あなたが他人を興奮させる』になってしまいますから、『俺って(みんなを興奮させるぐらい)すごいイケてるぜ!』という感じになってしまいます。
まさに、みなぎる自信!ってやつですね。
Are you HOT or NOT?
ちなみに、このように人について『イケてる』という場合、会話では “hot” という表現を使うことがあります(同じ感じで “cool” を使うこともありますが・・・)
今もやっているか分かりませんが、アメリカの(よくある)オーディション番組で、“Are You Hot or Not?” という名前のテレビ番組がありました(名前はうろ覚えです)。
その番組は、(自称)イケてる人たちが出てきてステージで一芸を披露するものなのですが、Hot ではなく Not の方が圧倒的に多かったように覚えています。
全く関係ないですが、上手いタイトルですよね、これ。個人的に気に入っています。
それにしても、American Idol のヒット以来、アメリカのテレビではこの手の番組が増えました。
America’s Got Talent で日本人のダンサーの人が優勝したのも、記憶に新しいところですね(下の画像から動画に飛びます)。
さらには、これも受け身が普通
学校では教わらない受身形
上に挙げた感情表現については、教科書にも載っている話ですし、学校でも教わっているでしょう。
しかし、学校では教わらない受身形の表現もあります。
それは、『終わった、完了した』という言い方です。
終わった=Complete?
アメリカの職場で使われる変な表現
例えば、『あの仕事終わった?』と聞く場合、多くの場合
Did you complete that job?
という英語が思い浮かぶかもしれません。
でもこれ、文法的には正しいけれども何となく不自然な言い方なんですね。
実は、アメリカの職場で『終わった?』と言うときに使われる英語表現は
Are you done?
や
Are you finished?
が普通です。
上の例で言えば、
Are you done/finished with that job?
という言い方になります。
“I am done.” とか言うと、自分が何かをされたかのように感じますし、“I am finished.” なんて言った日には、自分の人生が終わってしまったかのような響きがありますよね。
しかし、これが現地では『自然な』表現なので、あなたもこれが自然に感じるまで使う練習をしてみましょう。
『まだ終わってない』の英語表現は否定形ではない?
ちなみに、『終わってるよ』ならば “I am done.” ですが、終わっていない場合には “I am done yet.” が普通です。
この表現、私はいつも混乱するのですが、『~していない』なのに否定形(not が入っている形)じゃないんですよね。非常に不思議です。
まあ、“Done yet” でも “Not done yet” でも通じるといえば通じるのですが。。。
これを疑問文にして “Are you done yet?” とすると、『まだ終わってないの?』と、ちょっと責める感じの表現になります。
下の動画は、アメリカはフロリダにある Universal Studio のCMですが、日本でもおなじみの The Simpsons が車で Universal Studio まで行く様子が描かれています(下の画像から動画に飛びます)。
しかしまぁ、ガキンチョのうるさいこと。
家を出た直後から “Are we there yet?(まだ着かないの?)” と繰り返し、最後にはお父さんがキレてしまう、というものです。
いやぁ、私でもこうなりそうだな、と思いながらテレビで見た記憶がありますが、そもそも車では無理のある距離だったのでは、という気もしますね。
I am done はこんなところでも
この “Are you done?/I am done.” の表現は、職場以外にレストランなどでも使われます。
例えば食事がすんでお店の人が食器を下げに来るとき、『お済みですか?』という意味で
Are you done with it?
と聞いてきます。
それに対して、もう食べ終わっていたら
Yes, I am done.
と答えますし、まだ食事の途中で休んでいただけ、という場合には
I am still working on it.
という返答になります。
まだ下げられたくないからといって、くれぐれも “Don’t touch my food!” などと叫ばないようにして下さいね。
この表現には関係ないですが、『お皿を下げてよろしいですか?』という感じで
May I take off your plate?
と聞いてくることもあります。
このとき、ものすごく省略して
May I?
と手を出して微笑んでくる人もいて、なんだかエレガントな感じがしたことがありました。
さらにはこんな場面でも
この “I am done.” は、何かが終了した場面で使われますので、『関係が終了した場面』でも使われます。
一言いうと『別れ』ですね。
ただ、単純に『別れた』という意味ではなく、もっと『もうあいつのことはどうでもいい』という、あきらめのような、愛想が尽きたようなニュアンスになります。
例えばある女性が
I am done with him.
と言ったとすれば、もう相手に愛想が尽きた感じがします。
『もうあんなやつ、どうでもいい!』という感じですかね。
まとめ
ここまでの内容を、下にまとめます。
- 感情を表す英語表現は、普通は動詞の受身形。~ing 形にしてしまう間違いに注意。
- その他、『終わった、完了した』の英語表現も “I am done / finished.” と受身形が使われる。ちなみに『終わっていない』の場合には “I am done yet.” と、否定文なのに否定形にならない、という変則的な形になる。
- レストランでも、”Are you done?” と聞かれることがある。まだ食べている途中であれば、“I am still working on it.” が一般的な返し方。
- 人間関係で “I am done with ~.” というと、相手に対して愛想が尽きた感じの表現になる。
今回の表現は参考になったでしょうか。この “Are you done with ~? / I am done with ~.” は本当によく使います。
ぜひ英語で独り言を言うときに使い回して、自分のものにしていって下さいね。
MUSASHI