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今回の英会話道具箱では、少しマニアックな話かもしれませんが、『その5歳の少年』と『その少年は5歳』の英語表現の違いについて考えていきたいと思います。
この2つは実際に違う英語になるのですが、と同時に単語を修飾、つまり詳しく説明する場合の感覚について、いい具体例になると思い取り上げました。
それではさっそく見ていきましょう。
この記事の目次
『その5歳の少年』と『その少年は5歳』の英語表現の違い
『その少年は5歳』の英語表現
先にも書いた通り、この『その5歳の少年』と『その少年は5歳』では英語表現が違います。
まずは普通のほう、『その少年は5歳』から見ていきます。
これは簡単ですよね。“The boy is five years old.“ です。ちゃんとできましたよね!?
この場合には、単純に『その少年=5歳』ということで完結していますので、そのまま英語にするだけです。
『その5歳の少年』の英語表現
では次に『その5歳の少年』です。例えば、『その5歳の少年は、家に帰る途中で道に迷った』という文はどうでしょうか。
『その少年』だったら、話は簡単です。
“The boy got lost on his way home.”
ですよね。問題は、この “boy” に『5歳の』という修飾語がついている、ということです。
この場合の表現は
“The five-year-old boy got lost on his way home.”
になります。学校で習った文法的には、
“The boy who is five years old got lost …”
となるかもしれませんが、ちょっと大げさな感じがしますよね。
このように、『ちょっとした』修飾語句であれば、修飾される単語の前に入れてしまう、ということは普通に行われます。
『あの新しく建った家』に関するうわさ
他の例としては、『あそこの新しく建った家、まだ売れてないみたいだよ』と言いたい場合、どのようになるでしょうか。私であれば
“Looks like the newly built house over there has not been sold yet.”
と言うでしょう。
この場合、“old” という形容詞ではなく『建てられた』という動詞が入ってきますので、受け身である “built” という形になり、さらには『新しく』という副詞が『建てられた』にかかってきます。
ですので、“newly built house” になるわけですね。
もちろん、この部分を文の形(節)にして入れたい、というのであれば
“The house over there, which was newly built, has not been sole yet.”
でもいいでしょう。少しニュアンスが違うかもしれませんが、それぐらい会話ではノープロブレムです。
“my two-year-old” ってどういう意味?
また、日常的な表現として “my two-year-old” という言い方をする人もいます。直訳すれば『私の2歳』となりますが、どういう意味か分かりますか?
これは “my two-year-old kid“ の略で、『うちの2歳児』という意味なんです。『私が2歳の時』ではありません。
『2歳の』を前に出し、さらに『子供』を省略する、というのは非常に口語らしいですが、色々なところでそのような言い方を目や耳にすると、だんだん感覚的に普通に感じられるようになります。
そのような表現は、外国に行ったり英語圏の人と話さなくても、小説やテレビなどで追体験することができます。
ところで、今回の表現は少しおかしい、と思いませんか?『こいつ、間違ってやがる』と思ったかもしれません。
それは、“the five-years-old boy” とせずに “the five-year-old boy” と、s を付けなかったからです。
私も最初はそう思いましたが、実はこの言い方は間違いではなく、このように名詞の前につける形容詞として使う場合には、“years” という複数形にせず “year” と単数形で使うようです。
なぜなのか、私に聞かれても困ります。そういうものですから。
実は日本語にもある言い方?
このような『修飾語を前に付ける言い方』は、日本語にもある、というよりも、実は非常に日本語的な表現であると言えます。
基本的には修飾語句が後ろにつくヨーロッパの言語(特にラテン語系)と違い、日本語の場合には、どれほど長くなろうとも修飾語句は修飾される単語の前に付くからです。
例えば、『僕のリンゴをかじったネズミを捕まえた猫の尻尾を踏んづけた犬がくわえてきた棒を切ったのこぎりを使っていたおじさん』なんて日本語も、作ろうと思えば作れてしまいます。
そのような意味では、今回の『5歳の少年』や『新しく建った家』などの英語表現は、以前こちらで紹介した表現と同じく、スッと定着するのではないでしょうか。
参考記事:
https://eikaiwa4toeic700.com/training/english-conversation-toolbox/9-jinseiwokaerutaiken/
これも『ちょっとした』修飾語句?
Walmart の宣伝に出てくる長~い名前
英語の場合、長い修飾語句は文の後ろにつくことが一般的ですが、日本語と同じように強引に前に出すこともあります。
下の動画は安売りで有名な Walmart のコマーシャルで、Walmart の携帯電話が非常に安いため、契約したお客さんに『ある効果』が現れる、という内容になっています。
そして最後にその『効果』の名前が出てくるのですが、その名も
“the ‘I-think-I-drive-the-same-car-as-a-HIP-HOP-music-mogul-because-I’m-feeling-richer’ effect”
という長~い名前です。
日本語にすれば、『前よりリッチになったと感じたので売れっ子のヒップホップミュージシャンと同じ車に乗ってると勘違いしちゃう効果』という感じでしょうか。
先ほどの『僕のリンゴを・・・』と近いノリですね。
『毎年受賞してる的な品質』を英語で言うと?
このCMの表現はまあネタですが、他にも車のコマーシャルで
“awarded-three-years-in-a-row kinda quality(3年連続受賞してる的な品質)“
のように、『~してる的な』という意味で “kinda (= kind of)” を使う表現を見たこともあります。
このような表現は文法的には正しくないのかもしれませんが、何かを説明しようとするときに、このような表現の仕方を覚えると、自分の好きなように表現を作り出すことができ英語の表現の幅が広がって楽になります。
ちなみに “in a row” は、文字通りには『一列で』という言葉ですが、熟語として『連続で』という意味で使われる表現です。
まとめ
ここまでの内容を、下に3点でまとめます。
- 『その5歳の少年』という感じに『少年』を修飾する『ちょっとした』語句が付く場合、“the five-year-old boy” などと前に付けることが多い。
- 通常は修飾語句が長くなる場合には後ろにつけるが、語感の面白さを狙って修飾される単語の前に非常に長い修飾語を付けるケースも見られる。その感覚を利用して、自分で表現を作ることもできる。
- このように修飾語句を前に付けるのは、非常に日本語的な感覚であり、定着しやすいはず。
文法的には正しくはないですが、今回の記事のように『自分で表現を作っていく』感じを覚えると、英語で話すことが楽になっていき、英会話がモノになっていきます。
あなたが英会話をモノにし、あなたの望む未来を手に入れることを、私は応援しています。
MUSASHI