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ネイティブスピーカーの話す言葉は、英語であれ日本語であれ、基本的にとても自然です。
もちろんたまには堅苦しい表現や話し方も出てきますが、大体の場合は簡単(そう)な単語を使って、簡単(そう)な表現で話しています。
でも、自分でそう話そうとすると、けっこう難しいですよね。
そのような簡単(そう)な単語や表現をたくさん身につけるには、それなりに時間がかかりますが、その裏側にある感覚から身につけていくと少しは身につきやすくなります。
今回は、一番基本的な単語でもある have/get/make を使って自然な英語を話す際の、その裏に共通している『感覚』を紹介していきたいと思います。
今日紹介する have/get/make の使い方は会話で非常によく出てきますので、使えるようになると表現の幅が大きく広がりますよ。
なお、今回の記事は内容盛りだくさんのため、少し長めです。
この記事の目次
易しいものほど難しい?
自然な英語は『辞書的ではない』使い方がポイント
英語に限らず日本語でも、『自然な表現』という場合には、基本的にやさしい単語を使いますよね。
例えば、『あなたは~を保有していますか?』だと不自然な感じがしますが、『~を持ってますか』とか『お持ちですか?』などと言うと自然に聞こえます。
『やさしい単語』とは、別の言い方をすれば『その言語本来の言葉』です。持つ、取る、見る、などはその代表的な例になります。
これらの単語は、その言語本来の言葉であるため、非常に幅広い意味で使われます。
『持つ』にしても、物を持つ以外にも責任を持つ(引き受ける)、支払を持つ(負担する)、間が持つ(維持される)、など、色々な『持つ』として使われますよね。
まず真っ先に思い浮かべる『持つ』の意味(=物を持つ)を『辞書的な』意味、使い方と言うならば、これらの他の『持つ』は『辞書的ではない』意味、使い方になります。
自然な表現というものは、このような『辞書的ではない』意味や使い方をふんだんに使います。そのためパッと見は易しそうなのですが、実際に使えるようになるにはイメージを捉えたうえで練習が必要になるのです。
ただし、これは『スラングを覚える』ということとは違います。
スラングは『特定の組み合わせによって特定の意味を持つ特殊な表現』つまり慣用句ですが、今回の話はその単語そのものが元から持っている意味、使い方です。
したがって、スラングのような応用ではなく英会話の基本であり、そのため応用が利き使い回すことができるのです。
have/get/make に共通する『辞書的ではない』感覚イメージ
それでは、have/get/make の『辞書的ではない』意味、使い方とは何でしょうか。
非常にざっくりと挙げるならば、次の2つになります。
- ~を~にする
- ~に~させる
これらは基本的に『何かに働きかけて、その状態や行動を変える』という感じですね。
状態の方に重点があるなら『~にする』ですし、行動の方を変えるのであれば『~させる』という意味での使い方になります。
なお追加として、get には『~に到達する』という意味があり、そこから派生した意味、使い方もあります。
それでは、それぞれの使い方についてもう少し細かく見ていきましょう。
have/get/make の『辞書的ではない』使い方を紹介
『~が~(の状態)になる』のパターン(SVC の形)
まずは『~が~(の状態)になる』という使い方です。これは、これらの3つの単語のうち get の場合のみです。
この使い方は、get の持つ『~へ到達する』という意味から出たもので、『(ある状態から)~になる』という動き、変化が強調された言い方になります。
例えば、“He was angry.” だと『彼は怒っていた』という状態を表しているだけですよね。
そして “He got angry.” だと『彼は怒り出した』という、『(怒っていない状態から)怒った状態になった』という動きが入ってきます。
また、病気の人が “I am getting better.” と言えば、『(病気の状態から)健康な状態になりつつある』という感じで、これも動きが協調されますよね。
その他、相手の言っていることがよく分からなくて混乱した場合など “Sorry, I got confused.” という表現も、日常的によく使われます。
このような get の使い方は、辞書的な『手に入れる』とは違いますが、この『~の状態になる』という動きの感覚を身につけると、英語で話すことが非常に楽になってきます。
ぜひ、口頭英作文などで積極的に使って身につけていきましょう。
『~を~(の状態)にする』のパターン(SVOC の形)
make が使われる場合は
今度は、『~が』ではなく『~を』の場合です。こちらから働きかけて状態を変えるわけですね。
これは、have、get、make のどれでも使えます。
ただし、make は『(多少強引でも)状態を変える』という感じであるのに対し、have や get は『~の状態にする、してもらう』と若干弱い感じの響きです。
例えば、『そのニュースは私をハッピーにした』というのであれば、“The news made me happy.” と、『私の状態をハッピーに変えた』という強めの感じがします。
『私はハッピーになった』と私が主語になる場合ならば、“I got happy with the news.” になるでしょうか。
have/get を使って『~の状態にする』と言う
では have や get が使われる場合を考えてみましょう。
例えば、今日中に終わらせない仕事があるのにパソコンが動かない!今すぐ修理してもらわないといけない!という危機的な状況を英語で言う場合を考えてみます。
その場合、私ならば “I have to get this job done today, but my PC is out of order so I need to have it repaired (or fixed) now!” という感じに言うでしょう。
最後は当然、心から叫んでしまいますね。
この中には have と get が一か所づつ使われています。
“get this job done” と “have it repaired” ですね。
これはそれぞれ、『仕事を done の状態にする』、『それ(PC)を repaired の状態にする』という表現です。
そして、それぞれに過去分詞形で書かれている単語は、『受け身』の形、つまり『~された状態』ということです。
仕事であれば『された(完了した)』、PCであれば『修理された』状態になるわけですね。
ここでもし “I need to repair it” と言うと、自分でPCを修理する、ということになってしまい、『修理してもらう』という意味とは違ってきてしまいます。
飛ばされたのは帽子?あなた?
さてPCであれば、自分で修理しても修理してもらっても大して違いはないかもしれません(私はできませんが・・・)。
しかし、次のような場合はどうでしょうか。
街を歩いていたら風が吹いて帽子を飛ばされてしまった、という場合です。
『吹き飛ばす』は “blow”、その受身形は “blown”、では、この場合は “I was blown my hat by wind.” になるのでしょうか。
この言い方だと、”I was blown …” と言った時点で、あなた自身が風で飛ばされてしまっている意味になってしまいます。
そうではなく、あなたは『あなたの帽子を飛ばされた』わけですから、『帽子を風で飛ばされた状態にした』という形の言い方になります(自分の意思でやったわけではないでしょうが)。
したがってこの場合は、“I had my hat blown by wind.” という言い方が正確な表現です。
この『~を~された』という言い方は、『財布と盗まれる(have my wallet stolen)』や『けがを治療してもらう(have injuries treated)』など、日常的によく使われる形です。
ですので、こちらの使い方も練習して感覚レベルに刻み込んでいくと便利です。
『~に~してもらう(させる)』の形(SVO+動詞の形)
さて、最後は『~に~してもらう(させる)』という意味での使い方です。これも日常生活や仕事でよく出てきますよね。
『友人に空港まで迎えに来てもらった』であれば、“I had a friend of mine pick me up at the airport.” ですし、『そのニュースには泣いてしまった』と言いたければ “The news made me cry.” ですね。
これも上の『~を~にする』と同じで、make は強制的(命令的)な感じであるのに対し、have や get は『~してもらう』という控えめな感じです。
“I will have him take care of this project.” であれば『彼にこのプロジェクトを担当してもらう』になります。
でも “I will make him take care of this project.” だと、嫌がっているのを脅したりして何が何でも担当させる、そんな穏やかではない感じがしてきますね。
have/get/make と似ている使い方をする英単語
turn/become
まず、『~になった』の場合に使われる似た単語としては、turn と become があります。
become は『~になる』という意味が元々あるのでいいのですが、turn は特に色などが『サッと』変わる場合によく使われます。
赤くなる場合であれば “turn red”、顔色が青白くなる場合には “turn pale” という表現がよく使われます。信号が青になるのは “The signal turns green” です。
また、コンピューターの画面が真っ暗になってしまった場合には、“The screen of my PC turned blank.” で、あなたはPCを “have it repaired” しないといけないわけですね。
なお、日本語でもそうですが色は感情を表すことが多く、赤くなる場合は『恥ずかしい』、ではなく『激怒している』ことを表し、青白くなる場合は『不安になる』ことを表しています(体調不良の場合もありますが)。
keep/leave
keep や leave は、厳密には『~を~にする』という意味ではありませんが、似たような使い方をされることがあります。
これは『~を~の状態のままにしておく』という意味で使われます。
keep は『~のまま保つ』、leave は『~のまま放っておく』という使い分けになります。
例えば『水を出しっぱなしにしておく』は、意識的に行うのであれば “keep water running” ですし、そのまま放っておく感じであれば “leave water running” ですね。
また、アメリカの職場では『何かあったらちょくちょくアップデートの報告します』という意味の “I will keep you updated/posted.” という表現がよく使われます。
leave を使う表現では、『一人にさせてよ!』という場合 “Just leave me alone!” など、映画やドラマでも出てくるセリフですよね。
tell/ask/let/allow
『~に~してもらう』と言いたい場合、have や get よりも tell や ask が思い浮かぶかもしれません。それでも言いたいことが通じるかもしれませんが、多少ニュアンスが違うため、注意が必要です。
tell は make ほど強引ではないにしても命令的、ask は要求をしている感じですので have よりは押しつけっぽい感じに映ることもあります。
また、let や allow は『~に~させる』の意味ではなく、『~が~することを許す』という意味で使われます。
つい最近流行した曲のタイトルは “let it go” でしたし、お医者さんが『ちょっと見せて』と言って検査する場合、 “Let me have a look.” と言ったりします。
以前、視聴者から送られてきた動物の面白ビデオを放映する番組で、室内で2匹の大型犬のうち一匹がソファーでいたずらをして怒られる、というビデオを見たことがあります。
そのビデオの中で、室内でいたずらをした大型犬を叱っていた飼い主が、いたずらをした犬を叱ったあとで、その場にいたもう一匹の方に “You let it happen!” と怒っているシーンがありました。
『お前はこれが起こることを許した(=黙って見てたからこうなったんだ)!』という怒り方ですが、とんだとばっちりですよね。
そうやって怒られてシュンとしてるけなげな大型犬が、とても可愛かったです。
なお、細かいことですが、allow の場合には目的語のあとに直接動詞ではなく、to ~ の形を取ります。
『自然な英語表現』の身につけ方
このような自然でよく使われる英語表現は、英語表現そのものを覚えるよりもそれが自然に感じるまで慣れることが身につける早道です。
そのためには、そのような自然な英語表現に多く触れることが大切ですが、最も効果的な方法は『英文を自分の中に蓄積していく』ことですね。
英文に触れ、その文を場面のイメージごと覚えてしまえば、段々とそのような表現がしっくりくるようになってきます。
そのうえで口頭英作文などで使うことによって、完全に自分の一部として使い回すことができるようになります。つまり、蓄積した英文の熟成と吸収が起こるわけです。
英文の蓄積と熟成については、次の記事に詳しく書いてありますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
【参考記事】
まとめ
ここまでの内容を、以下に3点でまとめます。
- 自然な英語表現は、基本的な単語の『辞書的ではない』意味や使い方を使うため、見た目は易しくても使うためには練習が必要。
- have / get / make には、『何かに働きかけて、その状態や行動を変える』という『辞書的ではない』使い方がある。
- 自然な表現を身につけるには、自然な英文に多く触れ、それを自分の中に蓄積、熟成させることが早道。
簡単な単語の色々な意味を使って話すことで、あなたの英語表現の幅は大きく広がります。
そして、それが使い回せるようになると、英会話をモノにすることに近づいてくるのです。
あなたが英会話をモノにし、あなたの望む未来を手に入れることを、私は応援しています。
むさし